自然の色を漆に映す 城端蒔絵・一子相伝の技
城端蒔絵16世・小原好喬氏の『城端蒔絵菊文飾箱』(じょうはなまきえきくもんかざりばこ)は、日本伝統工芸富山展入選作で、東山エッジに展示するために初めて富山県から県外に出たものです。
縦16.8㎝ 横25.2㎝ 高さ13.8㎝の6角形の飾り箱は約1年の時間を掛けて作られました。50以上ある工程を一行程一行程丁寧にこなし、治五右衛門独自の彩漆描法で白菊を鮮やかに浮かび上がらせた逸品です。元来、漆では純白をはじめとする鮮明な中間色を表現することはできませんでした。これが小原家で440年間継承している、城端蒔絵の特色です。
意匠考案、布着せ本堅地法による髹漆、金や銀を用いた研出蒔絵、一子相伝の城端蒔絵、呂色上げと、工程を重ねる毎に、世界に二つとない城端蒔絵が作られて行くのです。「失敗したら、そこで終わり」という妥協のない作品をお楽しみください。